I.基本的方向・姿勢

I.基本的方向・姿勢

21世紀を迎えた今、上智学院は、大学教育への期待が高まる一方で、大学に対する国民の眼が日増しに厳しさを増しつつある日本の社会動向を直視する。「冬の時代の到来」と表現されるような、激動する先行き不透明な大学環境を、今こそソフィア・スピリットの求められる時代として可能な限りプラスに捉え、恒常的な自己変革体制を構築する。付加価値・魅力ある特色を欠いた大学は、活力を失っていく。

厳しい状況変化のなかで、キリスト教精神を土台とした上智大学創立当初からの理念を踏まえつつ、新しい世紀に向け、自由をもたらす真理と福音的正義に基づいた一歩を踏み出さなければならない。

1.優位性・独自性を樹立する

a.建学の理念と教育理念の実現

上智大学は、建学の理念と創立当初からの教育理念を貫く。
「上智大学は、キリスト教精神を基底とし、真実と価値を求めて、人間形成につとめるものの共同社会である」。 「全人的教育を目指しつつ、 学問研究を通じて世界人類の平和的発展のために役立つ人材を養成する」。
教育理念に基づいて、「自分で考え、決断する能力」を養う。

b.差異化と個性化の実現

現状を点検し、他にない歴史、伝統、風土の独自性を評価し、継続的にそれらを優位なものとし、 これまで培ってきたものを活かす環境が到来したものとの認識を深め、差異化と個性化の戦略を練る。

c.自己変革体制の実現

日本の大学をめぐる社会動向や経営環境は、めまぐるしく変化している。激動する環境の変化を、「世界に並び立つ大学」に成長し成熟する好機としてプラスに捉え、恒常的な自己変革体制を構築する。

d.教育・研究環境の整備

ITによる高度情報化社会の出現、 国際化の進展・国内における動向を敏感に把握しながら、 教育・研究の環境を整備する。

e.多様化と多層化の実現

生涯学習時代のさらなる進展に応じて、学生の一層の多様化・多層化を進める。

2.国際的評価を得る高等教育機関として存立する

a.国際的評価を受ける高等教育機関の実現

上智大学は、国際的評価を受けるに値する高等教育研究機関になる。世界の中の上智大学として、国際的評価を受ける基盤体制を整備する。

b.国際交流の拠点としての環境整備

国際交流の拠点校として、環境条件の整備充実を行う。

c.国際的教育研究水準の実現

国際的水準の教育研究体制を構築し、研究所等の重点化を図るとともに、大学院の高度化と多様化の推進を実現する。

d.社会貢献の拡大

研究成果の情報発信と提供による社会貢献の拡大を実現する。

3.キャンパス・ライフの環境条件を整備充実させる

a.ゆとりある生活空間の確保と時間的・人的コミュニケーション空間の整備

人間をかけがえのない存在として捉えて、学生・職員・教員一人ひとりを大切にする人間教育を向上させるため、ゆとりある生活空間を確保し、時間的・人的コミュニケーションの空間を整備する。

b.人間形成を支援する環境の整備

学生の課外活動の人間形成的意義を積極的に捉え、その環境整備や支援策を検討する。

c.キャンパス・ミニストリーの充実

キャンパス・ミニストリーのあり方と充実策を検討する。

4.21世紀を見据えた教育研究体制を確立するための組織・職制・人事計画を整備する

a.運営管理機構の整備

運営管理機構を整備する。すなわち、運営機能(学院及び教育の運営の基本組織)と管理企画機能(経営及び教育・研究改革を支援する組織)の両者を整備する。

b.組織・職制・人事計画の整備

運営管理機構をスムースに機能させるべく、職種エゴを排除し、組織・職制・人事計画を整備する。

c.ソフィア・スピリットの周知徹底

すべての教職員にソフィア・スピリットを周知徹底し、実際の教育・研究、組織運営に活かす。

d.教育の多様化に対応

教育の中核部分を専任教員が担当し、多様化の要請には非常勤教員・交換教授・客員教授をもって対応する。

5.学生納付金・補助金・募金・寄付金・収益事業計画、財政計画を樹立し、新しい財政基盤を整備する

a.財政計画の策定

新しい世紀に対応する「再興」は、経営と教学を総合的に視野に入れ、財政的裏付けを考慮しながら推進する。
「再興」推進のために、財政計画を策定する。

b.財政基盤の確立

私学の経営にあたっては、当面大幅な収入増を期待することは困難な状況にある。健全で継続的な運営に必要な財政基盤を確立する。

c.外部資金の積極導入

上智大学創立100周年、法学部・神学部・外国語学部・理工学部創設50周年等、長期計画に基づく募金活動並びに寄付の受付を行う。

6.選択と集中(スクラップ・アンド・ビルド)を原則とする

a.選択と集中(スクラップ・アンド・ビルド)

上智大学は一層の優位性・独自性を確保するため、アカデミックプランをフィジカルプランと連動させ、新しい教育研究体制を具体的、積極的かつ大胆に策定する。特に、既存組織の統廃合や新規の計画等については、英断をもって選択し、集中すべき事柄を精査する。

7.組織、構成員参加型手法を採用する

a.組織、構成員参加型手法

グランド・レイアウト最終案、および、これに基づくプラン(新ホフマン計画)策定にあたっては、諸会議のみならず、組織、構成員が参画することができるよう配慮する。