お知らせ

新型コロナウイルス感染症に対する上智学院の対応について

2020年4月1日

上智学院各校の学生・生徒の皆様
ならびに保護者・保証人の皆様

学校法人上智学院理事長 佐久間 勤

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、学校法人上智学院(以下、「本学院」)としての現時点における対応について、皆様にお知らせいたします。

本学院は、学生・生徒・教職員の安全を守り、少しでも不安を解消すること、そして、感染を広げないという社会的責任を果たすことを最優先に対策を検討し、実施しております。

誰もが経験したことがなく、今後の先行きも定かには見えない不安に打ち克つべく、冷静さを保ち、こころを一つにし、一人一人がとるべき行動をとることによって、この難局を乗り越えていきたいと考えております。学生・生徒・保護者・保証人の皆様のご理解とご協力を宜しくお願いいたします。

1.新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、国内では大規模イベントの開催自粛や小中高の休校など、社会生活にも大きな影響が出ております。また、東京都では夜間・休日における不要不急の外出自粛要請が出ており、今後も更に影響が拡大する恐れがあります。

このような中、本学院の各校では、卒業式・学位授与式の規模縮小や中止の措置を取っている他、学生・生徒の皆さんに様々な活動の制限をお願いし協力していただいています。この春休みは、本来であれば、正課(授業)以外での知識・見聞・経験を広げるための貴重な機会となるはずでしたが、学生・生徒の皆さんが思うような活動ができていないことを大変憂慮しています。

また、各国での感染症拡大に伴い、海外研修の制限や海外留学への派遣、留学生の受入中止などの影響が出始めております。

2.本学院としての対応

本学院の教職員は、このような混沌とした状況であっても、改めて教育精神「他者のために、他者とともに」(Men and Women for Others, with Others)に立ち返り、学生・生徒に寄り添い、安心・安全な学生生活を過ごせるよう、学修環境の整備に努めて参ります。また、現時点では学生・生徒・教職員への感染は確認されていないものの、感染防止を最優先に考えた各種対応を進めて参ります。

例えば、上智大学では、春学期の授業開始の延期を決定し、オンライン授業の導入についても具体的な検討に着手しているほか、イベントの原則禁止や課外活動の自粛要請も継続中です。各中学校・高等学校でも、入学式の規模縮小やその他行事スケジュールの変更など、臨機応変に対応しているところです。

今後、感染症の影響により、経済的な理由から学業継続が困難になった場合にも、引き続き充実した学生生活を送れるよう、本学院の奨学金制度を活用して柔軟に対応いたします。
※各校の対応は詳細が決まりましたら、改めてそれぞれのホームページ等でご案内いたします。

上智学院全体として、教職員が一丸となって取り組み、学生・生徒の皆さん、保護者・保証人の皆様、そして、ご関係の皆様に安心していただけるような、教育・研究活動の継続に努めて参ります。

3.この春から新しい生活を始める皆さんへ

※入学式が中止あるいは縮小されて、皆さんに直接お伝えする機会がなくなりましたので、ここに書面にて、新入生の皆様に向けたお祝いと励ましの言葉をお送りしたいと思います。

ご入学、誠におめでとうございます。また、保護者・保証人、ご関係の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。

今、入学の時を迎えた皆さんは、これから歩んでゆく日々をどのように思い描いているでしょうか。まだ漠然としているものであったとしても、何らかの目標、人生で目指す目的や価値を思い描いて、それを実現しようと望んでいるのではないでしょうか。

皆さんが新しい歩みを始める今という時は、実に重要な時です。最初の一歩が、その後の道筋を大きく左右します。目指しているものが何なのか、生涯かけて追い求めるほどの価値のあるものなのかを静かに考えてみましょう。そして、どのように、誰と共に目指すのか、という実現のための方法や道筋も重要な考察のポイントです。それにも増して重要なのは、その動機は何か、何に促されて歩もうとしているのかを確かめることです。

昨年11月に上智大学へ来校なさった教皇フランシスコは、私たち上智の学生・生徒・教職員へ、「何が最善なのかということを意識的に理解したうえで、責任をもって自由に選択する」人となっていくことを期待する、と言われました。何が最善なのかを見いだすにも、責任をもって自由に―― つまりふさわしい動機に促されて――それを選んだのかどうかを確かめるにも、時間がかかります。皆さんのこれからの日々も、それらを確かめる識別の旅路となることでしょう。

大学・短期大学部・社会福祉専門学校・助産学専攻科にご入学の皆さんには、高等教育という専門性の高い学びを始める最初の日々に、静かに自分のこころに問うて、思い巡らしていただきたいことがあります。「Men and Women for Others, with Others」(他者のために、他者と共に)という上智の教育精神に魅力を感じ、狭い自己中心のエゴから自由になり、世界全体とそこに生きる多様な人々、さらには地球という「私たちの共通の家」のために、自分は何ができるか、何がしたいかという視点から、これからの学びを組み立て統合していただきたいのです。

このお願いを中学校にご入学の皆さんに向けてお伝えするとしたら、6年間の学校生活の中で、自分という人間は何者なのか、自分は何を達成したいのか、自分は何を大切にしたいのかを考えてほしい、ということです。6年間は長いようであっという間に過ぎます。中学・高校という青春時代を充実したものとできるよう、入学のこの日に自分なりの誓いを立ててみてください。

皆さんのこれからの学びの日々が充実した豊かな時となりますように、心よりお祈りしております。